自己欺瞞の迷宮

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ちっ、また昨日の日記か。読み返すたびにゾッとする。

 

「ありのままの、取り繕わない自分を書く」?

「それがどれだけみっともなくても」?

 

はっ、笑わせるな。結局、"みっともない自分"を演じてるだけじゃねーか。

なんだよ、この "俺ってクールでシニカルでしょ" 感は。吐き気がする。

 

「誰かの目は気にしない」? 嘘つけ。

むしろ、過激なことを書いて、どんな反応が返ってくるか、ワクワクしてたんだろ?

 

「本当の自分と向き合う」だ? 冗談じゃない。

ただの自己陶酔だ。"暗くてクールな俺カッコイイ"に酔ってただけじゃないか。

 

結局、前の日の自分を否定して、新しい"かっこいい俺"を作り上げる。

このループから抜け出せない自分に気づかないフリをしている。

 

もう、日記なんて書くのやめた方がいいのかもしれない。

だって、何を書いても結局は自己欺瞞の繰り返しになるんだから。

 

...

 

でも、やっぱり書くんだろうな、俺は。

明日も、明後日も、その先も。

それが、この退屈な人生で唯一の刺激だから。

 

ラーメン? ああ、今日も食うさ。

これも、俺の"設定"の一部なんだろうな。皮肉なもんだ。