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M/V

music / video

複数形/個人、狼

 

Dirty Projectorsの新譜を聴いて10年くらい前のことを思い出してしまい、

自分語りおじさんと化してしまったので虚空に向かってつぶやきたい。

 

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これは個人的な話なので批評とかレビューとかそういったものではないんですが、

僕は人生のある時期Dirty Projectorsに狂ってしまった。

大学に入った関係で無限にインターネットをしているうちに出会ったんだけれど、

(大学に入る=無限にインターネットが出来るという思考回路の人間の悲劇と思って読んでください)

ある時La Blogothèqueというサイトで、

フランス人映像作家vincent moonのプロジェクト

A Take Away Show」に出演した時の映像、これに完璧に打ちのめされてしまった。

 


音楽的に好きだということもそうだけど、

映像的にはMVともドキュメンタリーとも言えないような、

MTV的ではない音楽と映像のあり方を感じて、

つまりある種のオルタナとかインディーを感じて、

(今冷静に観ると(聴くと)録音がかなりヌーベルバーグ的だ)

自分でもビデオカメラを買ったりしてライブハウスをウロウロしたりした。

あと多少しょーもない書き方をすれば、

「ハーレム系男子によるblack flagのカバーって、お前ー!!!」

というモテない男子的な気持ちもあった。

そこから数年は本当に永遠に狂い倒した。

でもAngel Deradoorianが抜けたあたりでフッと何かが消え、

Swing Lo magellanはあまり聴き込めなかった。

どちらかというとvincent moon的な動きに興味がシフトして、

ワールドミュージックとかレフトフィールドとか、

元々好きだったOZ DISC関連とかオフノート関連の音楽を聴くようになっていった。

 

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僕は映像系の大学に潜り込んだこともあり映画を撮りたかったのだけど、

集団制作の雰囲気というかなんだかよく分からない不条理感に馴染めず、

だんだん学校自体に行かなくなってしまった。

最終的に一年留年して苦し紛れに数日でアニメーションを作って出したら、

何かの気まぐれで中途半端に結果が出てしまい、

色気を出してアニメーション専門の大学院に入った。

 

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The beatlesとかThe Rolling Stonesとか、

バンド名が複数形なことっていうのを真剣に考えたことがなかった。

バンドは家族みたいだとバンドをやっている人からよく聞く。

僕もちょうどその時付き合っていた女性とバンドをやっていたのでなんとなくわかる。

初期の(確かTheがついていた頃の)Dirty Projectorsは、

流動的にメンバーを変えていった点ではプロジェクトだったと思うけど、

最終的にアンバーとの関係性もあってコミュニティ化、家族化したように思う。

(今書いていて思ったが「A Take Away Show」は「A」だった)

僕もグループというかコレクティブというか集団を作った人間なので思うが、

自分の思ったことを正しく遂行したいと考えれば考えるほど独裁にならざるを得ないし、

民主的な集団を豊かに育みたいという気持ちとアンビバレントな状況にならざるを得ない。

僕は内情を全然知らないけど、

凝りまくった作風とメンバーがかなり流動的だった初期から考えると、

エゴイスティックなんだろうなと思う。

ネガティブな意味ではないけど。

ここ数年のインディー的なバンドで言えば、

Tame Impalaは基本的にギターボーカルのKevin Parkerが全ての楽器を演奏録音している。

技術の発達で宅録を突き詰められるようになったフロントマンが作るアイデアを、

演奏行為としてバンドの形式を取って活動することはある種のバンド観的にはバンドではないかもしれない。

多人数が集まって何かを作るとき、

全員が同じ方向を見るっていうのは本当に奇跡的なことだと思う。

 

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コレクティブという言葉はanimal collective的なニュアンスで

僕が作った集団ONIONSKINの説明をするときに使う。

そういえば僕が当時意識的に参照していたイギリスのアニメーション制作集団mothも偶然だけどcollectiveを採択している。

いや、

「僕が作った」というのも不正確で、

孤独な僕にみんなが集まってくれたという方が正確かもしれない。

ついつい「作った」と書いてしまう自分の知性が嫌いだ。 

 

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インスタグラムで見かけた記憶では、

Tame Impalaのメンバーがソロ作をリリースした時

「サイドプロジェクト」と枕がつくことをKevin Parkerは嫌がっていた。

 

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これを書くにあたって一切何も調べていない。

でもDirty Projectorsのアートワークに頻繁に登場する、

二つの円が細くつながっている図形はなんだか象徴的な気がして、

そういう両義性と引き裂かれをFrank Oceanの「Blond/Blonde」にも感じた。

 

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Dave longstreth

「インディーロックは死んだのか?」と

インスタグラムで話しているのをこのあいだ見た。

彼の応援していたサンダース的なものが死んだ意味ではそうだろうし、

今回のアルバムはそういう意味での失恋を感じる。

でもたとえば今回のアルバムタイトルが

Dave longstreth」とか「Dirty projector」ではなくて、

Dirty projectors」だっていうことのポジティブさを受け取りたい。

 

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大学院も結局途中で行かなくなってしまった。

苦し紛れなのか承認欲求なのかMVを作ったりしてお茶を濁して日々が流れていっている。

MVのVを作る人間があんまり強烈にMに言及するのも恥ずかしいけど、

主な業務内容のアニメーション的な視点で考えれば、

「複数のプロジェクター」という言葉は今更だけど意味深い。

知っている話で言えば、

60年代にイメージフォーラム的な想像力は、

映写機を複数用いて並列で上映するアプローチを実際に行なっていた。

あるいはやっぱりユーリノルシュテインの「話の話」の複数さを、

どうしても思い出してしまう。

まだ読んでいないので言及は出来ないけど、

そもそもアニメーション研究家の土居伸彰さんが先日出版した

「個人的なハーモニー」という本のタイトルって直接的に今回のDave longstrethを感じるし、

インディーの思想と、ある種のアニメーションの思想は共振する。

というか、本当にそういうことだと思う。

 

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ノルシュテインの「話の話」には複数の話を越境する存在として狼のキャラクターがいる。

これをDave longstrethやBon Iverみたいな手法の音階を越境するピッチベンドに感じるし、3人になったBattlesが「The Yabba」のMVで象徴的なアイコンとして用いたスライドバーにもそれを感じる。

 

スライドバーつながりで言えば坂本慎太郎も使っている。

まぁ単に好きなものを羅列してるだけに過ぎないけれど。

でもやっぱりメキシコとの国境に壁が出来そうな今、狼に期待するしかないのかもしれない。

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Battlesを脱退したTyondai Braxtonもモジュラーシンセサイザーによる演奏で客演している。

そういえば元々Battlesはポストロックやマスロックとして紹介されていたように思うし、

Dirty Projetorsもそういう個人的な記憶がある。

アンバーは加入前はSleeping Peopleのメンバーだった。

Bon IverのJustin Vernonはpeleの発展形Collections of Colonies of Beesと

Volcano Choirとしてアルバムを出している。

いずれのバンドも何かしらの複数のものをミックスさせようとしていたように今は思う。

 

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「ハーレム系男子によるblack flagのカバーって、お前ー!!!」

というモテない男子的な気持ち、

みたいな僕のようなキモい奴のサブカル需要は、

アンバーへのセクハラとか、

Angelが脱退した原因の一つであるインディーゴシップと関係があると思う。

このMVを初めて観た(聴いた)時と今の印象は同じと言えば同じで、

このVが作り出したものと壊したものは確実にある。

 もちろん単に僕がこのMVにエロさを感じすぎているだけで、

単に僕の問題でしかない。

 

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そんなに極端に言うほどインディーは死んだとは思えない。

ポーランド的な第二次大戦後のトーンクラスターとか不気味なグリッサンドが、

結局ホラー映画に使われた時よりポジティブさを感じる。

そういえばそういう戦後のハーモニーは、

広島国際アニメーションフェスティバルに行くとやたらと聴くこと(観ること)が出来る。

 

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Late Night Work Clubが昨年発表した『Strangers』の、

インディーとしての矜持。

 

https://vimeo.com/193286118

 

Caleb woodのこの共同体思想は今現在の目線で見ると悲しい気持ちになってしまうけど、

アンソロジーが持っている複数性をやはり信じていきたい。

Strangers』にもやっぱりsが付いている。

「アドベンチャータイム」を筆頭にカートゥーンネットワークの近年の作品なども

明らかにインディーを感じるし。

ただこれらは今年以降次々に終了することが決定している。

すでに終了した「レギュラーSHOW」。

80年代的産業ロックを愛した二人のモラトリアム青年たちが、

平和な公園で繰り広げた退屈な日常の終わり。

 

うっかり忘れていたけれどデビットオライリーのポストパンク的なアプローチも、

 

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そろそろ異常な量になりそうだったのでそれはまたゆっくり書きたい。

 

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僕の思い込みとか偏愛とか撞着を、

一つの文章につなぎ合わせて主張するのは完全にキモい。

だけどDirty Projectorsについて考えていたらどうも頭がいかれてしまい、

インターネットの片隅に何かしら置いておきたくなってしまった。

個人的に続きをそのうち書きたい。

 

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本当は事実関係を調べないとダメなんだろうけど、

今回はなぜだか一切調べる気になれなかった。

不正確な情報もあるかもしれないが、

誤字脱字含めて全て僕の思い込みと妄想でしかない。

 

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ただ、単純に土居さん最高!みたいになってしまっていて大変なことになってる。

読み返してみてそこはちょっと恥ずかしい。

けどテクノとの近似を唱えている点に関しては少し違った気持ちがあるので

(アオリ文なので土居さんじゃないのかもしれなけど)

それもまたそのうち個人的に書きたい。

 

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2:43辺りからの「cool your heart」のパート、

どんどん巻き戻っていくところ、

後退していくところは見ていて本当に悲しい気持ちになる。

ほとんど人力で撮影しているのだろうか。

そうであれば撮影現場ではとてつもなく加工した音に合わせて、

無茶苦茶なリップシンクを行なっている。

Dave Longstrethは

 

「cool your heart」

 

と、

逆さまにひっくり返して口を動かしている。 

 

 

こちらに向かって光る車のヘッドライトはまるでプロジェクターのようだ。

まばらに点滅している消えそうな二つの光。

曲が終わり、車が走り去って行くのが本当に辛かった。

 

でも唐突に、過剰にタイムストレッチしながら車は戻ってくる。

ヘッドライトは付いたまま。

ナンバープレートには「2020」と書いてある。

 

 

僕はこういう、

MとVの両義性の引き裂かれと少しのつながりを信じている。

 

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